妊娠中の抗てんかん薬とビタミンB群

抗てんかん薬内服中の妊娠期間におけるビタミンBの補充をどうするか
妊娠中に抗てんかん薬(ASM)を服用すると、先天性奇形のリスクが高まったり、子供の神経発達に悪影響を及ぼす可能性が指摘されてきました。
ASMは葉酸代謝と相互作用することで、また妊娠自体の葉酸低下作用も相まって、葉酸値が低下することでこれらのリスクが高まるとされています。
そのためASM投与中のてんかんの女性は、葉酸補充を勧められることが多いのですが、一方でASMの慢性的な使用は、葉酸の異化亢進と関連していることも指摘されています。
てんかん患者以外の人々を対象とした研究では、過剰な葉酸の補給により、血漿中に未代謝葉酸(UMFA)が蓄積されることも指摘されるようになりました。そして、そのUMFA濃度が高くなると、神経発達に悪影響を及ぼす可能性も指摘されているのです。つまり、サプリメントなどでの高用量投与の安全性についてはまだ課題があるのです。
非妊娠てんかん患者では「ASMの慢性的な使用」と「リボフラビン(ビタミンB2)やピリドキシン(ビタミンB6)などの非葉酸系ビタミンB群の濃度低下」との間に関連性が報告されています。
よって、今回の論文では、てんかん女性の妊娠中におけるASM濃度と、ビタミンB値との関連性を検討することを目的としています。
なお、ビタミンB群であるリボフラビンとピリドキシンは、葉酸と相互に作用して一炭素代謝を行い、胎児の正常な発育に欠かせない代謝経路を担っています。そしてナイアシン(ビタミンB3)は、神経細胞の発達と生存に重要な役割を担っているビタミンです。
xcdfyuvihoiuvjhcg.png
論文結果の主なポイントは以下です。
1)ASMの使用は、非妊娠てんかん群における葉酸およびビタミンB群の低濃度と関連
2)てんかん合併妊婦におけるASMの血中濃度高値は、未代謝葉酸(UMFA)の高濃度と相関
3)ASMの高い血中濃度は、てんかん合併妊婦における葉酸代謝物と正相関
4)ASM濃度は、ててんかん合併妊婦におけるリボフラビンおよびピリドキシン値と逆相関
ASMの血中濃度とビタミンB群の血中状況については関連性があることが示されました。
この結果が実際に臨床的にどのような影響を及ぼすのかは今後さらなる検証が必要と思いますが、一方で推奨すべき最適なビタミン投与量についてもまだまだ課題が残っていると思われます。
Reference:
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/epi.17076
★★脳波の推薦テキスト★★
『脳波判読オープンキャンパス(診断と治療社)』
・図書の詳細はこちら
・アマゾンでの購入はこちら
↓↓↓
71BwgFchlvL.jpg
本書の特徴
↓↓
sssssfgebwr.jpg
【てんかんテキストの紹介】
てんかんテキスト:
・南江堂ホームページはこちらから:
こちら
・Amazonページはこちらから:
こちら
【脳波判読ハンズオン:動画コンテンツ(初学者向け)】
こちら
【毎週月曜日に開催しているウェブでの脳波勉強会】
毎週、脳波の勉強会をしています。参加は自由です。初学者向けです。お気軽にどうぞ。
参加希望はこちらをご参照ください。
にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へ
にほんブログ村
にほんブログ村 病気ブログ てんかんへ
にほんブログ村

コメント

タイトルとURLをコピーしました