今回の論文のテーマ
自己免疫性脳炎(AE)の免疫治療はどこまでするのか? です。
AEは炎症性の中枢神経疾患で、意識障害、けいれん、発熱などの症状が急性に出現します。
AEの病態は免疫介在性の脳症ですので、治療としては免疫療法が行われます。
まずは1st lineとしてステロイドパルスなどを行い、2nd lineにはシクロフォスファミドなど投与します。AEに対して、この2nd lineまで投与すべきかは十分なエビデンスがないので、メタアナリシスが行われたようです。
研究結果
25の研究から356人の患者が組み入れられ、結果的には「2nd lineの免疫治療」と「最終のmRSスコア(転帰)」の間には有意差がつきませんでした。
つまり、2nd lineまでやっても有意にmRSを改善させるような転帰は得られなかったという結果です。なおLGI-1や長期(少なくとも12ヶ月)フォローアップのサブグループで2nd lineの免疫治療は最終mRSスコアの高さと関連していたようです。
そもそも脳炎は非常に多種多様ですし、抗体の種類もまちまちで、既存の抗体陰性の重症脳炎もあります。つまり統計学的な有意差を出すにはとても難しいpopulationだと思います。またmRSだけで脳炎の予後を判断するのはとても難しいです。
歩けることが脳炎の予後としてもちろん大事ですが、高次脳機能や精神症状、てんかん発作の難治度など、QOLに直結するパラメーターがありますので。mRSでは脳炎の予後としてはresolutionが粗すぎます。
が、このような研究の積み重ねが大事ですので、私たち臨床医はこの結果を適切に解釈しながら各省令への当てはめを検討していく必要があります。
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