はじめての脳波トリアージ – 2ステップで意識障害に強くなる-

脳波テキスト

救急・意識障害の脳波の入門書が出版されましたので、紹介します!
『はじめての脳波トリアージ: 2ステップで意識障害に強くなる』
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脳波を正しく読むという呪縛

どうやら私たちは「脳波は、正しく読まなければいけないもの」さらにいえば「正しく読める人しか脳波を読んではいけない」といった先入観にとらわれているように思います。ですが臨床の立場でいえば、決してそうではなく、むしろ深く読もうとしてはいけないのです。

例えばICUを回診中、突然のアラームとともに心室性細動っぽい波形を目にすれば、皆さんは脊髄反射的にサッと動き出すでしょう。決して「いや、私は不整脈の専門医ではないので…」とは言わないと思います。大事なことは、専門医と同じような知識(特異度)があるかではなく「マズい」を見逃さない敏感な感度です。

脳波も同じで、意識障害の判定というセッティングでは早期診断のための感度が重視されます。そこで本書の『脳波のトリアージ』です。

本書は、救急脳波をテーマとして、押さえるべきポイントを2つだけに絞りました。具体的には「背景活動の不良」と「てんかん性の所見の有無」の2つのステップで構成されるトリアージです。緊急性のある脳波パターンを拾い上げる作業なので、てんかん外来などでの専門的な判読プロセスとは根本的に異なります。

ですから、「脳波を読むこととはなんぞや」のようなフワフワしたものや、「脳波判読のお作法」的なカッチカチしたものは既存の良書にお任せし、脳波の細かいことをすべて省いた実践本として本書を仕上げました。そもそも、脳波の『正解』を導き出すことが私たち臨床医の目的地ではありません。

意識障害のある患者の最終的な転帰を改善させること、つまり臨床の『最適解』に意義がありますので、そのプロセスの一環に意識障害の鑑別を最速化する脳波トリアージがあると考えてください。脳のバイタルサインを味方につければ、ICUでの強力な武器となるでしょう。

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