<脳卒中後のけいれん・てんかん>
脳卒中後のけいれん発作(てんかん発作)の管理は重要課題です。
高齢化に伴い脳卒中患者は増加しており、また近年の脳卒中急性期治療の治療成績の進歩に伴い、いわゆるstroke survivorが増えており、脳卒中後のてんかん患者は増加と一途と言えます。
脳梗塞、あるいは脳出血後の患者さんで、どのような患者さんがその後に「けいれんやてんかん」を発症するか、という問題は随分前から議論されていました。
<脳卒中後のてんかん・けいれんでわかっていること>
脳卒中後に発作を起こす可能性を高める因子として(脳梗塞後であれあば)、
・ 脳梗塞重症度
・ 大脳皮質を含む病変
・ Early seizure
・ MCA領域の脳梗塞
・ 主幹動脈のアテローム血栓性の病態
・ 年齢
などが、脳梗塞後の初回発作(Late seizure)と関連することが既報告より知られています。
<脳卒中後の発作の分類>
脳卒中後のけいれん発作は、一般に、その発作の出現時期で分類されます
・Early seizure:脳卒中後7日以内の発作
・Late seizure:脳卒中後8日以降の発作
・Post stroke epilepsy:脳卒中後にてんかん原性を獲得し、発作を繰り返す慢性病病態
EarlyとLate seizureの境界を14日と定義したstudyも見られるが、最近では7日以内の方が主流である。
<SeLECTスコア>
今回の紹介する論文は「脳梗塞に発症後、どのような症例が将来発作を引き起こすか予測するためのスコア評価」を検証したものです。Lance Neurologyからの報告です。
まずは1200名の脳梗塞登録患者のデータから、以下の因子が予測因子として用いらるべきものとして抽出されました。
(以下の因子が関連因子として抽出)
・ 脳梗塞重症度
・ 大脳皮質を含む病変
・ Early seizure
・ MCA領域の脳梗塞
・ 主幹動脈のアテローム血栓性の病態
これらの因子で作成したスコアは、合計で0−9点で
スコアの高さと、将来の発作の出現の予測能を、検証した結果が以下の通りです。
スコアが9点:1年以内の発作の出現リスクは63%で、5年以内が83%
スコアが0点:1年以内の発作の出現リスクは0.7%で、5年以内が1.3%と非常に低い結果でした。
最後のこのfigureは非常にわかりやすいですね。白衣のポケットに入れておいてもいいくらいです。
患者さんに
・ Early seizureがあるか
・ Cortical involvementがあるか
でまずは四分割し、
・ MCA領域の脳梗塞、主幹動脈のアテローム血栓性、重症度で細分化して、予測される発作リスクが参照されます。
Early seizureがあってCortical involvementがあれば最低でも
・1年以内の再発率:11%
・5年以内の再発率:18%
となりNIHSSのスコアや動脈硬化性変化が伴えば、そのリスクは段階的に上昇します。
Reference
Lancet Neurol 2018; 17: 143–52
★★脳波の推薦テキスト★★
『脳波判読オープンキャンパス(診断と治療社)』
・図書の詳細はこちら
・アマゾンでの購入はこちら
↓↓↓
本書の特徴はこちら
↓↓
【てんかんテキスト】
「てんかん、早わかり! 診療アルゴリズムと病態別アトラス」
豊富なアトラスとアルゴリズムで諸学者向けのてんかんテキストです。
Amazonにて先行予約が可能となりました
【Amazon.co.jp】
【脳波判読ハンズオン:動画コンテンツ(初学者向け)】
https://www.youtube.com/channel/UC8fQhXxMaey6Bm80ZHGm-ig
【毎週月曜日に開催しているウェブでの脳波勉強会】
参加希望はこちらをご参照ください。医学生・医師あるいは検査技師であれば医局や病院に関係なくどなたでも参加できます。
にほんブログ村
にほんブログ村
コメント