脳波判読シリーズ(第2回;後頭部優位律動の評価)

脳波判読シリーズ
今回は後頭部優位律動の評価についてです。
優位律動とは、脳波記録時間の中で時間的に最も多く出現する律動のことで、正常成人では安静覚醒閉眼時に後頭部優位に出現するα波(後頭部優位律動)に反映されます。
この優位律動は、脳全体としての統合性(connectivity)あるいは組織化(organization)を反映するため、その評価はとても重要です。
脳波の判読をする際には、まずこの後頭部優位律動を確認しましょう。以下の三つのステップを参考にしてください。
<ステップ1>
優位律動の評価ではまず「ベストなサンプルで評価すること」がとても重要です。
優位律動の評価に適した状態は「安静覚醒閉眼時」で、特に十分覚醒した状態(fully awake)である必要があります。なぜなら覚醒していても「やや傾眠な状態(drowsy)」に近づけば、後頭部優位律動は生理的にその持続性や反応性が乏しくなります。
このような状況下で優位律動の評価を行えば、本来の正常な後頭部優位律動を過小評価してしまう可能性があります。覚醒はしているがdrowsyに近づいていないかは、Roving eye movementの存在でチェックできます。
roving eye movementの例(このようにF7やF8で眼球運動の揺らぎが見られれば、ウトウト状態を反映し、後頭部優位律動の評価サンプルとしては不適切)
rrem.png
<ステップ2>
正常な後頭部優位律動の必要条件を一言でいうなれば“waxing and waning with continuity”につきます。
ステップ2では、この点も含めて、後頭部優位律動の構成要素(周波数、振幅、連続性、分布、反応性、左右差)を評価していきます。ここでもベストな状態での構成要素を評価することが肝要です。
“waxing and waning with continuity”の例
pdr.png
<ステップ3>
最終的、ステップ2での評価項目をもとに、後頭部優位律動はLack of PDR, Disorganized PDR, Poorly organized PDR, Well organized PDRの4段階評価で区分されます。
それぞれの解釈は「高度のびまん性脳症」、「中等度のびまん性脳症」、「軽度のびまん性脳症」、「正常」が示唆されると評価されます。
評価の3ステップをまとめました。
ddm.png
このように後頭部優位律動の評価だけでも、これだけのチェック項目があります。
慣れれば簡単ではありますが、簡単な評価項目も、丁寧に見ていく癖をつけることが大事だと思います。
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