抑うつ・体重減少の鑑別に、ペリー症候群を

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抑うつと体重減少での鑑別にペリー症候群を

「抑うつ症状」と「体重減少」、この2つのキーワードがセットでみられたとしても、両者の因果関係を安易に成立させていはいけません。確かに「うつ状態→食欲低下→体重減少」はよくあるパターンかもしれませんが、にその背景にある疾患をスクリーニングする必要があります。

体重減少の精査は鑑別が多い

ですがもし体重減少の精査を行なっても、腫瘍などの器質的疾患がなかったり、あるいは内分泌系の異常も認めなかった場合はどうでしょうか? 心因としての抑うつ症状に関連して体重が減少しているのではと考えたくなります。

今回は、抑うつ症状に加えて進行性の体重減少があればペリー症候群という神経疾患も鑑別に入れる必要があるよ、という話です。

ペリー症候群とは

ペリーと言われても、真っ先に思い浮かぶのは黒船ですが、関係ありません。ペリー症候群(またはぺりー病)は抑うつ、体重減少、そしてパーキンソンソニズムを呈する稀な遺伝性の神経疾患です。典型的には、比較的急速に進行するパーキンソニズムと体重減少に加えて、うつ症状、アパシー、脱抑制、意欲低下などの精神症状を認めます。

中枢性の低換気が特徴

また、特徴的な症状として中枢性の低換気があります。特に体重減少は顕著で、1年で10kgほど低下したりします。

パーキンソニズムが軽微だったペリー症候群

今回のケースでは体重減少と抑うつが先行して出現しており、当初は全くパーキンソニズムはありませんでした。しばらく経過を見ることにしていたのですが、失神後のCO2ナルコーシスで搬送されました。無事にICUでリカバリーしたのですが、人工呼吸器からの抜管が困難だったんです。かなり特徴的な呼吸障害のパターンだったので、一度みたら忘れないでしょう。

呼吸機能自体は保たれているのに、呼吸のリズムやバランスが非常に不安定でした。これはさすがに中枢神経疾患が背景にあるだろうと再精査したところ、ペリー症候群と最終的には診断しました。

この症例はペリー症候群であるにもかかわらず、パーキンソニズムとしての運動症状がかなり軽微でしたので、通常の診察だけではスクリーニングが難しいと思います。

メッセージ

「抑うつ症状」と「体重減少」に加えて中枢性の呼吸障害があれば鑑別に入れたほうがいいと思います。

Extubation failure due to atypical parkinsonism with negligible motor and variable non-motor symptoms associated with a variant of DCTN1 - Internal and Emergency Medicine

Reference

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