最近、糖尿病の新しい呼称として「ダイアベティス」を提案すると関連学会が発表し、話題になったと思います。
てんかんは癲癇だった
実は、てんかんも昔は「癲癇」でしたが、漢字の癲癇は精神障害などの偏見に繋がりかねませんので、現在は平仮名表記が浸透しています。
抗てんかん薬から抗発作薬へ
そして、てんかんの治療薬についてもILAEから最近提言がありました。従来よりてんかんの治療薬は抗てんかん薬(AED: antiepileptic drug)と記されてきましたが、ここにきて「発作抑制薬(Antiseizure Medications、ASMs)」と呼ぶことが適切であるとの合意が得られたのです。
というのも、てんかんで使ういわゆる「抗てんかん薬」の主な効果は発作の抑制であって「てんかん」そのものを例えば完治させるような効果は原則としてありません。そのため薬剤の効果を正確に反映するとすれば「抗てんかん薬」ではなく「発作抑制薬(Antiseizure Medications、ASMs)」の方が誤解を生じないでしょう、ということです。あくまでも、これらの薬は発作を予防・抑制するために使われるのであって、疾患そのものに対する直接的な治療効果は期待されていないということになります。
発作抑制以外に期待する効果
ですが「抗てんかん薬/抗発作薬」は発作を抑制する効果しかないわけではありません。発作が抑制されることによる長期的な影響や、副次的な(例えば併存疾患に対する)有益な効果を示すことはありますので、これらの影響まで否定するものではありません。つまり、合理的に適切に使用することで様々な効果は期待されます。
もちろん、今後、てんかんという病態に対する根治療法、あるいは疾患修飾薬の開発が期待されていることは言うまでもありません。
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