小児の半球切除術:「誰が」するかではなくて、「誰を」するか

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小児の半球切除術の術後成績の論文

アトラクティブなタイトルの論文ですが、要はいかに適切な適応を判断するか、ということなんだと思います。

“Not surgical technique, but etiology, contralateral MRI, prior surgery, and side of surgery determine seizure outcome after pediatric hemispherotomy”

Epilepsiaの論文で、斜め読みしかしていませんが、小児の半球切除術の論文です。2000年から2016年の間にヨーロッパの5つのてんかんセンターで半球手術を受けた457人の小児の発作転帰について解析しています。

反対側にMRIでの病変があったり、左半球での手術、過去の手術歴、などは術後成績が芳しくないようです。一方で、てんかんの罹病歴は関係ない、というのは「へー」と思いましたが、そもそも手術している症例だけなので、まあそうなのかもしれません。

タイトルからは外科医の個人的な手術テクニックも検証しているのか?と思いましたが、要は術式のことのようです。

論文背景

この論文の背景としての既存の知識をまとめました

と言っても論文のintroductionをまとめただけです…

  • 半球切開術は乳児期および幼児期の薬剤耐性てんかんに対して有効な外科的治療法の一つです。
  • 例えば小児てんかんセンターでは、半球切開術が外科手術の20%から40%を占め、過去数十年で手術件数は大幅に増加しています。
  • 半球切開術の主な目的は発作の制御であり、適応は慎重に選ばれます
  • 対象は小児で、乳児期の重度てんかん性脳症を含みます
  • 半球切開術後には片麻痺や同名半盲などの機能障害がありえますが、発作が停止し薬物が中止されることで、小児は認知的な回復を得る可能性もあります
  • しかし、いまだ、どの患者をすべきか、つまり患者の選択基準はまだ議論の余地があります。
  • 例えば、病因は、半球切開後の転帰に影響を与えるとされてきました
  • また近年の神経画像の進歩していますので、半球切開術の病因の範囲、という因子についても再定義する必要性があるでしょう
  • 特に高解像度MRIによって明らかになっている対側MRI異常の影響については、まだ議論の余地があります。
  • 手術の術式も同様です

これらのまだ議論の余地が十分ある複数の因子において、何を優先的に参考とすべきか、これからもデータの蓄積が必要と思われます。

Epilepsia. 2023;64:1214–1224

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