妊娠とてんかん:葉酸はたくさん飲んでいれば大丈夫ではない

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葉酸はただ飲んでいれば問題ないのか?


 
抗てんかん薬では催奇形性のリスクから、てんかんのある女性では、妊娠前・中に高用量の葉酸を摂取することが推奨されています。
 


ただ、生まれてくる児にとって、出生前から高用量葉酸に曝露されることのリスク、例えば小児がんリスクがあるのかは不明です。つまり「葉酸は飲んでいればok」なのかどうかは不明です。
 
 

葉酸補充と小児がんのリスク

この研究では、1997年から2017年までデンマーク、ノルウェー、スウェーデンでの観察研究で出生登録のデータから、母親のてんかん診断によって分類され、3379171人の児のデータが登録されています。高用量葉酸(1日1mg以上)の暴露歴がある上で、20歳までに発症した小児がんをアウトカムとして評価しているようです。
 
 


 
3379171人の小児のうち
・てんかんのある母親から生まれた27784人(51.4%、男性)
・そのうち5934人(21.4%)が高用量葉酸(平均 4.3 mg)に曝露
・曝露された18人にがん発症あり
(曝露されていない29人と比較して、調整ハザード比2.7)
 


一方、てんかんのない母親の子どもでは
・46 646人(1.4%)が高用量葉酸(平均 2.9 mg)に曝露
・曝露されたがん患者は69人(調整ハザード比は1.1)
 


以上から、高用量の葉酸の出生前曝露は、てんかんを持つ母親の子どもにとって、将来の発癌リスク上昇と関連することが示されました。
 


日本のガイドラインでは0.4mg/日という設定です。ですが、葉酸は一錠5mgです。だから1/8Tで処方しなければいけません。薬剤師泣かせ問題をどうするか、用量の最適化が課題です。

JAMA Neurol. 2022;79(11):1–10. 

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