「妊娠すると発作は増える」という都市伝説

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てんかん合併妊娠

まず大事なことは「てんかん患者の大半は問題なく通常の妊娠出産が可能なこと」です。

もちろん、薬の調整など大事なことはありますが、それよりも「てんかんだから」とか「発作があるから」、「薬を飲んでいるから」という理由で妊娠・出産ができないということはありません。ここまでは社会常識です。

妊娠すると発作はどうなる?

さて今回は、周産期に発作の頻度は変わるのか?という課題です。

昔から、報告によりまちまちではありますが、10-20%の症例で発作頻度は減少し、20-30%で増加するなどいわれてきました。

妊娠中にはライフスタイルや、体調が変わるので、発作頻度が変化することについては納得できます。ですが、本当にそうなの?という疑問で、前向き多施設共同観察研究が行われました。NEJMの論文です。

妊娠と発作変化:前向き多施設共同観察研究

てんかんのある妊婦と、対照群(妊娠していないてんかん患者)を同時に1-2年追跡調査した研究で、結論は、両者に差はなかった。確かに妊娠期間中に発作頻度の変化はあったものの、対照群でも同じような発作頻度の変化がありました。

そのため、妊娠があってもなくてもナチュラルコースとして、一定の頻度で発作の増減はあると示されました。よって「妊娠すると発作は増える」は都市伝説だったのかもしれません。正しくは、2割前後の症例は妊娠に限らず発作頻度が変わりますよ、と言うことなのかもしれません。

ただし、周産期での適切な用量調整が重要であることに変わりはありません。

Reference:

N Engl J Med. 2020 Dec 24;383(26):2547-2556. doi: 10.1056/NEJMoa2008663.

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