子供が頭をぶつけた、てんかん大丈夫?

てんかんリスク因子

「幼い頃に頭をぶつけましたが、てんかんの原因になりますか?」

小児での頭部外傷

小児での外傷性脳損傷TBIによる「入院」の発生は、10万人あたり8-70人とされています。

ですが、どの程度の確率でその後にてんかんを発症するのか、そのリスク因子は何か?などは成人とは異なり、まだよくわかっていません。

例えば、小児では虐待による偶発的な損傷もあり、また脳の発達段階や首の筋肉が発達段階に応じて、脳の受ける損傷度も異なるでしょうから成人とは状況が異なります。

実際に、小児では頭部外傷後の外傷性脳損傷のリスクが高いという報告もあります。

頭部外傷とその後のてんかんのリスク

今回のシステマティックレビューでは、小児TBIにおける外傷後てんかんPTEの発生率を評価したRCTやコホート研究を対象に評価しています。

主な結果


・小児TBI後のPTEの全体的な発生率は10%(95%信頼区間[CI]= 5.9%–15%)


・受傷後の発作(CIR= 7.28)、重度のTBI(CIR=1.81)、および頭蓋内出血(CIR=1.60)は、PTEのリスク

・性別、手術介入などはPTEのリスクとならず

一般に、軽くぶつけたくらいで大ごとになることはなく、頭蓋骨骨折や、頭蓋内出血、意識障害の遷延、痙攣発作などがなければ、その後にてんかんを発症するリスクは低いと考えて良いと思います。

いずれにしても、頭部外傷後のてんかん発症については、今後、臨床リスク因子に基づいた管理とガイドライン作成が課題になってくると思います。

参考文献

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