てんかんと記憶と睡眠

てんかんと記憶

忘れては覚え、また忘れる

「脳神経内科医であれば、このくらいの本の知識は全て頭に入っています」はもちろんウソです。たぶん私の頭には、この1割も入っていません。

なので困ったときには読み返すのですが、一度読んで全て覚えることができたらなといつも思います。そして忘れます。何かを忘れないと人は新しいものも記憶しにくいらしいので、困りものです。

てんかんと記憶

記憶の中核に海馬があります。海馬はてんかんの焦点になりやすい場所です。てんかんの焦点からはスパイクと呼ばれる「てんかん性放電」が出現しています。もし海馬にてんかん焦点があれば、このスパイクが海馬の機能を邪魔をすることになる。つまり記憶の定着を邪魔してしまうことになります。

記憶と睡眠

記憶の定着は睡眠中に行われるのですが、睡眠中に発生するスパイクが、記憶の定着プロセスで発生する睡眠脳波にどのような影響を与えているのか? そんな研究でした。

ちょっと難しいので、ざっくりといえばスパイクが海馬から出ていれば正常な睡眠脳波が歪んでしまっていて、その影響で記憶の定着がスムーズに行えていないのではないか、という結果でした。

不要な放電はしっかり止めなければいけません。

てんかん患者の治療は発作を止めるだけでは不十分

記憶の温存も大事な側面です。


Reference
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/epi.17337?fs=e&s=cl

コメント

タイトルとURLをコピーしました