けいれんの回数で、てんかんかどうかを判定する、という話です。
日常診療で「失神」と「てんかん発作」の鑑別が必要となる機会はしばしばあります。教科書的には、「失神」と「てんかん」の区別は明確に記載されていますが、症状のみから鑑別することは臨床的にはしばしば困難なことが多いです。
一般的には「けいれん」があれば「てんかん発作らしい」ということになりますが、実は「失神」でもけいれんを起こし得ます(けいれん性失神:convulsive syncope)ので、けいれんがあったからといって、必ずしも「てんかん」というわけではありません。
「てんかんのけいれん」と「失神のけいれん」
てんかんの場合のけいれんは、「発作の始まり」から起きることが多いのですが、失神でけいれんを伴う場合は「失神してから(意識を失ってから)けいれんする」という点で鑑別ができます。
ただし、実際にいつからけいれんが始まったのか?意識を失った患者さんに後ほど問診しても、実際にはよく分からないことの方が多いのも実情です。教科書のように簡単には区分できません・・・
今回の紹介は「てんかん発作」と「失神(によるけいれん)」の鑑別で使える、新しい臨床ルールです。
その名も「10/20ルール」
「10/20ルール」
内容はシンプルです。
けいれんの回数(ガクガクしたけいれんの動きの回数)が
・20回以上なら:てんかん発作
・10回以下なら:失神
を示唆するというもの。
これはてんかん発作の方が長く、失神のほうがけいれんの持続が短いという背景から推測され、実際にてんかん発作を起こした症例と、失神した症例の比較をして検証した結果から提唱された臨床ルールになります。
10/20ルールも含めたてんかん発作と失神の鑑別点
今回の新しい「10/20ルール」も含めて、失神とてんかんの鑑別点をいかに示します。
赤文字が今回の論文に関わる内容です。
本研究の信頼性が高いかどうかの検証(validation)は必要だと思いますが、10回、20回と、シンプルに分けることは、臨床医にとっては利便性が高いのではと思います。
ただし、一般に「けいれん」を目撃した人が、その回数を覚えているか?と言われた場合には疑問も残ります。また、この研究は人為的に失神を誘発された場合での検証を行っており、自然発生での失神を見ているわけではありません。以上の点や実用性も含めたて、今後の検証が望まれます。
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