抗てんかん薬の止めどき

<てんかんの治療は一生ですか?>
てんかんに対して抗てんかん薬で治療開始した場合に、発作が長期間消失する可能性は約60−70%と言われています。
つまり半数以上の患者さんは、内服薬での治療により発作は抑制されます。では、その治療はいつまで継続すべきでしょうか?一生継続すべきなんでしょうか?
残念ながらこの問題について明確な答えはありません。しかし少なくとも小児てんかんにおいては、てんかんのタイプによっては内服終了が容易な場合があり、年齢や状況に応じて減薬・中止を検討することができます。
小児には年齢依存性に発作が消失していく経過を辿るものがあるためです(たとえば、思春期のうちに発作が消えていくという年齢依存性の経過を示すてんかんのタイプ)。
一方で、成人てんかんの経過には年齢依存性の要素が基本的にはありません。ですから「◯◯歳になったし断薬しましょうか」、という提案は小児ではあっても成人にはあてはまりません。
<断薬後の再発率>
抗てんかん薬での治療開始後に発作が消失し経過良好となり、内服を中断した場合の発作の再発率については、これまでに検証されています。
質の高い研究はあまりないのですが、一般に再発率は12−67%とされています。特に中止後1年以内の発作再発率は約25%とされています。
成人だけでの検証においては、2年間発作が内服で抑制されていた患者さんが断薬した場合の再発率は15%と報告されています。もちろん、中断せずに内服継続をした場合においても発作は一定の割合で再発しますので、純粋に発作が15%も増えたという解釈にはなりません。
いずれにしても、断薬可能かどうか、特に成人においてはとても難しい評価項目です。成人では自動車運転や就職など社会的因子も関与するため、実際に断薬すること自体が困難な状況も多々見られます。
<どういう「てんかん」が再発しやすい?>

断薬後の発作再発の関連因子は以下の通りです。
・断薬開始時の年齢
・発作のタイプ
・それまで何年間発作が抑制されていたか
・治療内容
などに応じて、ある程度、再発のリスクが評価できます。どうしても断薬を試したいという際にはこのような項目に該当しているかどうかも鑑みた上で、相談する必要があると思います。
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References
Neurology 1994:44:601-608
Lancet 1991:337:1175-1180
Epilepsy&behave 2006:8:616:619
Epilepsia 2008:49:455-463
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