てんかん:その歴史は深く、その社会的病態認の識度はまだ低い

てんかんほど、医学的な歴史の長いにも関わらず、それに相反してその病態認知度が社会的にも低い疾患はないと言えます。
たとえば、ヒポクラテス全集によると「てんかんは脳の病で,食事と薬で治療するもので,宗教的儀式で思量できない」と記されているます。
つまり、紀元前400年にはすでに医学的に正しく「てんかん」が評価されているのであり、このことは大変な驚きであり、そこからすでに「てんかん」の医学的歴史は始まっていたと言えます。
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一方で、「てんかん:epilepsy」の語源は,ギリシャ語の動詞epilambaneumにあるとされており、これは「捕らえられる」(seized, attacked)状態を意味しているという。この語源から類することができるように、てんかんの発作が何者かに「捕らえられた」状態を表現しているものと想定されます。古代より西洋では、実際に、てんかんは「悪魔が取り憑き,神が助ける病気」と考えられた時代がありました。
このような社会的な偏見や誤解はその後の歴史社会に大きな影響を与えたことはいうまでもありません。そして、近代社会の現在においてでも「てんかん」の社会的な正しい理解は決して理想的な状況に至っているとはいえません。
実臨床で感じるのは「てんかん」という概念自体を、医療従事者内においてでも十分に正しく理解されていないのではという点です。「てんかん」を専門としえる脳神経内科医であっても、必ずしも「てんかん」を正しく理解し、診療できるとは限らないのも現状です。
もちろん、これだけ専門領域に分化されてしまった現在の先進医療においては、ある程度の医療の分業というものは避けては通れないというのも現実であり、全ての領域で最新の知識を得ていることを要求されることは現実的ではないとも思います。数年単位で目まぐるしく変わる医療情勢を幅広いスペクトラムで常に追い求め、並走しつづけることは並の努力では成し得ません。
しかし、「てんかん」はまぎれもないcommon diseaseであり、患者さんの人生に直結しえる病態です。あらゆる年齢層で発症しえ、一度発作が起きるようになれば、発作を止めない限り患者さんの人生へのインパクトは計り知れません。
このような疾患を目前にして、少なくとも正しい理解を得ていることは医療従事者としては必然であろうと思います。
このような経緯と背景で、当ブログは、主に医療従事者を対象とした臨床でのてんかんについて、情報発信していくことを目的としております。
お気付きの点などございましたら、いつでもご連絡ください。
それでは、引き続きよろしくお願いいたします。
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