爪から診断する「てんかん」

てんかんの診断はもっぱら発作症状であり、身体所見や神経学的所見はしばしば軽視されがちで、これは私自身も反省するところがあるのですが・・・
確かに、発作症候学が大事であることは言うまでもありません。ただし、一部のてんかんでは身体所見が診断のきっかけになることもしばしばあり、やはり問診・診察は丁寧に行うべきであることは自明です。
論文はC M A Jに掲載されていたclinical image論文です。
症例は52歳女性で、爪の変色を主訴に皮膚科を受診。
診察すると爪の所見は爪囲線維腫(periungual fibroma)だった・・・
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既往歴に「てんかん」はあるものの、内服治療でコントロール良好なものであり、臨床的に「てんかん発作」は大きな問題ではなさそう。
しかし担当医は、「爪囲線維腫」と「てんかん」のキーワードから結節性硬化症(TCS)を鑑別に上げた。
そして、MRIでもT S Cに特徴的な結節性の病変を認め、遺伝子検査を経てT S Cと診断された。
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T S Cは小児科で診断されることが多いですが、その多くは典型的な(多彩な症候が揃った)T S Cであり。
一方、T S Cの亜型は多彩な症候の一部しか認めないことも多く、未診断のまま成人となるため、成人診療科ではTSCの診断経験が少ないこともあり、診断に至らないまま経過するケースも多いとされます。
てんかん領域で言えば、原因不明の薬剤難治のてんかんであればT S Cは必ず鑑別に入れないといけませんが、この症例のようにそもそも「てんかん」が難治ではないならば、TSCが鑑別に入ることは難しいです。
この症例のように身体所見も丁寧にみていくことの重要さを再認識させられました。
引用文献:
https://www.cmaj.ca/content/192/26/E714
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