てんかんのカルテの書き方

てんかんのプロブレムリストについてです。
てんかんは情報量が多いのと、分類がバージョンアップしたりと、なかなか難しいですよね。結論から言えば「どのグループで共有するか」で表現方法は異なると思います。
論文・学会報告:

この場合は最新のILAE 2017分類を用いるようにしています。
ただし臨床の局面ではこの分類は煩雑です。旧分類も新分類も知識としては把握することは大事ですが、各局面でうまく使い分けるのがいいと思います。
つまり、専門性が高いチーム内でディスカッションするなら新分類で良いと思いますが、そうでないなら新分類はまだ不向きと思います。特に日本語では「焦点起始両側強直間代発作」と書くよりはシンプルに「全身けいれん」や「二次性全般化」と書いた方がコミュニケーションエラーになりにくいと個人的には思います。つまり施設や病棟の周知度次第ということですね。
病棟:
この場合は、やはりコメディカルの知識レベルに応じて記載しています。つまり新分類を知らない人が多ければしようは避けた方がいいと思います。もちろん、そこを教育することが大事ではあるのですが。
I C U:
救急では「慢性疾患」である「てんかん」の分類にこだわる必要は全くないと思います。特にルールは決めていませんが、ICUコメディカルがわかるようにすることが大事です。例えば重積で搬送されてきた症例で仮に記載すると、以下のような感じでしょうか。
例:
#1. 確定したてんかん重責状態(2021年*月**日発症)
 #右上肢のけいれん→2次性全般化(頓挫まで約60分)
#EEG:左半球の周期性放電
#MRI:陳旧性の外傷性脳挫傷(20**年)
予後などの情報にも関わることとしては、どの程度SEが続いたかは大事だと思います。
専門カンファレンス:
脳神経内科でのカンファレンスや、てんかんグループでの合同カンファレンスでは、新分類を用いるようにしています。
「●歳発症,危険因子には●●がある●歳●性(●利き).AED●剤にてもFAS, FIAS,がそれぞれ月●回と難治に経過し,他院でのMRI で扁桃体腫大が指摘され,自己免疫性脳炎疑いにて・・・現状評価目的/薬剤調整目的/vEEGによる発作型確認目的で入院」
など表現します。
Semiologyも詳しく:
Type 1: FAS(auditory aura lasting for 20-30 sec)
Type 2:FIAS(motion arrest->hand automatism->loss of consciousness)
FASからFIASへの進展は約1割
頻度や増悪因子なども併記する
外来カルテ:
いろんな方がカルテを見るので、特に患者から相談の電話が当直帯にあった時など、パッとカルテを見てわかるようにしたいところです。外来カルテでは、以下のような感じで記載しています
# 薬剤難治の焦点てんかん(左前頭葉てんかんの疑い:30歳発症)
  #Sz type 1: SPS(右顔面のけいれん発作)、週単位で出現
  #Sz type 2: sGTCS(SPSの1割で二次性全般発作に進展)
  #EEG:左frontalのspike
  #MRI;明らかな異常なし
・自動車免許なし 
・最終発作** 
・自立支援取得あり
・有効AED:CBZ. LCM. LEV
・無効AED:LTG, PER, TPM
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