てんかんの旧分類では、部分・全般でてんかんを区分します。この概念は、複雑なてんかんの全体像を俯瞰する上ではとても重要です。
新分類では「部分てんかん」とは言わなくなっていますが、この概念自体は知識としては取り入れておくことは大事です。例えば治療では、全般てんかん=バルプロ酸、部分てんかん=カルバマゼピン、が古くからそれぞれの第一選択であり、分かり易かったです。現在は新規抗てんかん薬も第一選択に含まれるようになりましたが、この2剤が主軸で考えることは現在も変わりありません。
なおバルプロ酸は全般にも部分にも効果がある一方で、カルバマゼピンは全般てんかんで使用した場合にミオクロニー発作が悪化することがあります。この点でもやはり「部分」と「全般」を区分することに意義はありました。
最近の新機抗てんかん薬の特徴の一つに広い治療スペクトラムがあり、例えばレベチラセタムやラモチリギンは「部分」にも「全般」にも効果があります。
なお「第3世代」と呼ばれる新規抗てんかん薬のペランパネルと、ラコサミドは「部分」にしか適応がありません。特に、カルバマゼピンと同じナトリウムチャネル阻害作用を持つラコサミドでは、やはり前述の理由もあり全般てんかんでの使用には注意すべきすが、一部の報告では「全般発作」にも効果があったとされており、ミオクロニー発作や欠神発作の増悪なく導入できたとされます。
このように新規抗てんかん薬は、どの発作にも効いてしまう?ので、専門医不要ではとも指摘がありそうですが、多様な病因や背景病態を持つてんかんの診療においては、やはりたくさんある抗てんかん薬を上手に使い分けることが望まれます。名医の言葉通り「発作なし、副作用なし」を目指して、患者単位でのテーラーメイドな治療が求められています。
参考文献
Epilepsy Research 130 (2017) 13–20
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0920121116304077?via%3Dihub
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