ヒトを認識する脳波:自閉症スペクトラム障害の診断

誰しも、ハッと思うことはあると思います。何かを見たときに「あ、思い出した!」など。そのような閃きに限らず、ヒトは何かを認識するときに脳内では何かしらの反応が生じています。
例えば、ある写真をパッと見せられたとき、私たちは瞬時に「それが人間かどうか」、あるいは「自分の知っている人か」、「全く知らない人か」、など認識すると思います。
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この認識にはもちろん脳が関わっていますが、つまりこの認識のプロセスでは必ず脳内で「脳波変化」が生じているのです。
今回の研究ではこのような「ヒトの認識」における脳波変化に関して、自閉症スペクトラム障害(ASD)では、normal controlとは異なる脳波変化を起こしているということを報告しています。
もう一度先ほどの脳波を見てみます。
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上段の左は人の顔と認識できます。その右隣は女性の顔写真の上下逆さまです。さらに右隣はなんの絵かわかりません。中断を見てみると、上段と同様に、人の顔のイラスト、上下が逆さまの顔のイラスト、よく分からないイラストの順でなんとなく認識できます。では下段はどうでしょうか?これまでの流れをみると、左と中央は「顔」のイラストであるとわかりますが、やはり一番右は顔とは認識できそうにありません。
それぞれの写真を見たときの脳波変化を可視化したものが次の図です。
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被験者のデータを一括平均した時間周波数解析のデータになりますが、正常コントロール群とASDでは顔写真を見たときに生じる変化(赤や薄青の変化)が異なるのがわかります。
両群のデータを差し引きすると、どの周波数帯域が異なるのかがわかるのですが、
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このように、人の顔を認識するプロセスにおいて正常コントロールでは反応が見られていたベータ帯域とガンマ帯域の活動がASD群では見られていない、あるいは反応が乏しいことがわかります。
将来は脳波による診断ツールとなる可能性が示されました。
Clinical Neurophysiology
Volume 129, Issue 5, May 2018, Pages 981-989
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