神経内科が診るWest症候群

West症候群(ウエスト症候群)についてです
私を含め、てんかんは神経内科医にとっての苦手分野であることが多く、小児てんかんはさらに苦手な分野です。
今回はその小児てんかんの中から、West症候群について
West症候群は、乳幼児期に発症し、多くは難治のてんかんとなる症候群です。
実はこのWest症候群は医師の中での知名度が非常に高い症候群です。少なくとも「West症候群」の名前を知らずに、医師になった方というのはほとんどいないのではないかとも思います。
というのも、医師国家試験ではこのWest症候群に関する問題が必発だったからです(最近の国家試験事情は詳しくありませんが)。少なくとも名前だけは知っている・聞いたことがある、という医師はたくさんいると推測します。
ところが、神経内科医であっても基本的な診療対象の患者さんは成人ですから、このWest症候群を診療する機会はほとんどありません。神経内科医として、てんかん専門外来をしていても、West症候群の診療機会はさほど多くないと思います。
もちろん、乳幼児期の診療は、専門の小児神経科が診療するのが一番だと思いますが、キャリーオーバーの問題もあり、神経内科医が小児てんかんについてある程度知識を持つことは臨床的に非常に大事だと思います。小児科—神経内科間の診療引き継ぎのハードルを少しでも下げるため、神経内科医が努力してできることは多いと私は思います。
*小児科の患者さんが成人になった場合に、成人対象の診療科(てんかんであれば、神経内科、脳外科、精神科など)へ科を移行することが本来ではありますが、様々な事情により成人後も小児科で治療を続けている患者がおられ、これを日本では「キャリーオーバー」と表現されています。この問題は複雑なので、またの機会で検討します。
<神経内科医が知っておくべき、小児てんかん>
神経内科医が知っておくべき小児てんかんとしては、
1) 特発性全般てんかん(小児欠伸てんかん、若年欠伸てんかん、若年ミオクロニーてんかん、覚醒時大発作てんかん)
2) 側頭葉てんかん
あげればキリがないのですが。まずはこの二つだと思います。
特に、特発性全般てんかんに関する知識は必須だと思います。治療への反応が良好な場合が多く、小児科からの引き継ぎケースも多いと思います。特発性全般てんかんに関する注意事項などは、また改めて紹介します。今回はあえて、診療機会の少ないWest症候群を紹介します。
<なぜWest症候群の知識が神経内科に必要な理由>
1) 引き継ぎを受けた時に、診療ができるように
2) 稀ですが、「昔、West症候群と言われて、治療して治りました」という方がその後に成人となり神経内科に来られることがあります。
<West症候群の患者さんを外来で診たら>
以下の問診を参考にしてください。
spasm.png
難治のWest症候群の診療を神経内科医がすることはあまりないと思いますが、
「昔、West症候群と診断された」という患者さんが、10代あるいは成人後に、何かしらの発作を認め、神経内科の外来に来ることもあるでしょう。そのような場合に上記の問診を参考に、『典型的なWestだったのかどうか』を確認すると良いです。

<典型的なWest症候群だったのか>

発症年齢、脳波異常の有無、治療内容、その後のてんかん発作の経過を確認する
例えば、一旦寛解した幼児期のてんかんが、その後に長い年数を経て発作が見られるようになった場合、それは別のてんかん(例えば、側頭葉てんかんや皮質形成異常)を発症していることも考えられるからです。
その場合は、側頭葉てんかんや皮質形成異常を伴ったてんかんとしての治療をしなければいけませんので、「昔、Westだった」患者さんが、寛解後に再来した時は注意が必要です。
また、発症年齢が典型的でなかった場合は、『本当にWest症候群だったのか?』と疑問を持つことも大事です。診断されたのが大昔で、カルテも残っていなかったり、当時の医療ということもあります。
1歳未満での発症で、発作はシリーズ形成で、ヒプサリズミアもあり、ACTH療法を受けて、というのであれば疑うよちもありませんが。そうでないにもかかわらず「昔、Westと言われた」ということになると、やはり注意が必要です。
また知能に関して、West症候群の7割以上は中等度以上の学習障害などが見られますが、一方で、West症候群の1ー2割の患者さんは正常知能です。
ちなみに、Down症でWest症候群を合併することがありますが、Down症でのWest症候群のばあいは、転機良好なことが多いことが知られています。
<大事なこと>
・ 神経内科医は、West症候群の典型例に関する知識を
・ 非典型的な場合、West症候群ではない可能性も考慮する
References:
Prevalence of childhood epilepsy and distribution of epileptic syndromes: a population-based survey in Okayama, Japan. Epilepsia, 47(3):626–630, 2006
Infantile Spasms in Remission May Reemerge as Intractable Epileptic SpasmsEpilepsia, 44(12):1592–1595, 2003
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