意識障害の脳波

今回は,意識障害の脳波の判読についてです.
問題形式で提示したいと思います.脳波判読にご興味のある方は是非判読してみてください.
脳波問題レベル:
対象:
・ 普段から脳波に接する機会はあるけど,あまり判読に自信がない方
・ 神経内科後期研修医
などでしょうか.
症例:40代男性
検査目的:意識障害の評価目的
問題1)
この脳波所見を記載するとすれば、どのような所見になるでしょうか?
eee.png
答え:
Generalized periodic discharges

eer.png
赤枠で示すような、dischargeが間欠的に出現しており(おおよそ1Hz前後の周期),各discharge間のintervalには青枠のようなbackgroundが見られています.このようなパターンはperiodic dischargeと表現でき,分布は全般性に広がって見えますの,Generalized periodic dischargeと表現できます.
問題2)
Generalized periodic discharges(GPDs)と判断した場合に、評価すべき項目は?また,その臨床的な鑑別疾患は?
ヒント:
てんかん性の要素(あるいはNCSEの要素)があるかどうかの評価のため,周波数の変化や,速波の混在の有無をcheckします.
周波数の経時間的な変化を見るには、画面の横軸(時間軸)を60秒表示などに変更すると一目瞭然です.この脳波では,明らかなevolving patternは見られず,むしろfluctuationのpatternであることがわかります.
erer.png
答え:
・評価項目
rerer.png
・鑑別疾患
www.png
意識障害の鑑別は,神経内科医にとって重要な業務の一つと言えます.院内コンサルテーションで頻度の多い相談の一つと思います.
意識障害の評価に,脳波は必要不可欠です.脳波は,その空間分解度はMRIなどに劣りますが、時間分解能は大変優れています.
経時的に変化する脳病態を捉えるためのツールとして脳波は簡便であり有用と言えます.
今回は,意識障害の際に見られうる脳波所見を紹介しました.GPDは,ある程度診断特異性のある所見として重要であり,これが見られた場合には、その病態に応じた適切な治療が必要となります.
<大事なこと>
GPDの鑑別疾患には重要な急性疾患がある
GPDが見られた際には,てんかん性の要素の混在の評価も重要

References:
HirschLJ,LaRocheSM, et.al., errigan JF, Vespa P, Hantus S, Claas- sen J, Young GB, So E, Kaplan PW, Nuwer MR, Fountain NB, Drislane FW. American Clinical Neurophysiology Society’s Standardized Critical Care EEG Terminology: 2012 version. J Clin Neurophysiol 2013;30:1–27.
Chong DJ1, Hirsch LJ. J Clin Neurophysiol. 2005 Apr;22(2):79-91. Which EEG patterns warrant treatment in the critically ill? Reviewing the evidence for treatment of periodic epileptiform discharges and related patterns.
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