・脳波検査の限界
てんかん診療で最も重要な検査の一つが脳波です。
脳波は頭皮上に電極を置いて脳活動を記録するわけですが、脳内の活動を全てとらえているわけではありません。
脳内で生じた活動のうち、頭蓋骨を超えて頭皮上まで到達した活動のみを、脳波検査では捉えることができます。
脳波検査は、実際の脳内活動の10分の1以下しか捉えることができません。ですので、頭皮上で捉えることができた脳波活動という限られた情報に基づいて、脳内で生じている出来事を推測しなければいけません。
・脳波所見からてんかんのタイプを推測する
脳波所見で、いわゆる「てんかん性放電」が見られれば、てんかんという診断に結びつく非常に重要な脳波所見になります。ですが、てんかんには様々なタイプがあり、そのタイプ毎に「てんかん性放電」の特徴もある程度知られています。
小児てんかんの特定の症候群では、そのてんかんタイプに特異的な「てんかん性放電」が知られていますが、成人てんかんにおいては、あまりてんかんタイプに特異的な「てんかん性放電」というものは知られていません。
・限局性皮質異形成(FCD)に特異的な脳波所見
従来よりrepetitive spikeなどはFCDに特異的な脳波所見ではと推測されていました。
今回の論文では、てんかん外科治療を受けてFCDと最終的に病理診断された患者において、頭皮上脳波の所見がどれだけ病態特異性を持っていたかを検証しています。
repetitive spikeやcontinuous dischargeが混在するような所見は、FCDに対する非常に高い特異性が示されました。
頭皮上脳波の所見だけで、脳内の仲間で覗き込む(病理診断を予測)ことは容易ではなく、このような報告は大変貴重です。FCDはMRIで同定できないこともしばしばあります。そのようなMRI陰性例においてこの頭皮上脳波所見がどの程度有用であるのかは、重要な課題でしょうか。
参考文献
ANN NEUROL 2018;84:564–575
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