spike見落とし

spikeを見落としていませんか?という話です
早速ですが、この脳波どうでしょうか?
初回の意識消失発作の精査で、『てんかんの除外目的』で施行された脳波です。
q11
このような目的で脳波を取ることは、神経内科医では非常に多いと思います。
てんかん性放電(spike)があるかどうかが問題となりますが、いかがでしょうか?
<明らかなてんかん性放電なしと判断された方>
残念ながら、これまでの脳波判読で、「spike」の見落としがあるかもしれません。「明らかなてんかん性放電なし」とカルテ記載する前に、ぜひこの記事を読んでみてください。
今後、「てんかん性放電」の見落としを減らすことができると思います。
<耳朶の活性化でしょ?と思われた方>
その通りです。おそらく、今回の記事から得られるものはございません。
ご興味がございましたらご参考までにお読みください。

<てんかん性放電(spike)の見落としを減らす方法>

先に答えを言います。
spikeの見落としを減らすためには、「分布が広い下向きの尖った波形(positive spike)を見たときにはaverage montageでチェックする」ことが大事です。
それでは、さきほどの脳波を見てみましょう。
q12
下向きに尖った波形があります(赤枠)。このような波形が広く分布しているときは
average montage(AV montage; 平均電位基準)に変更してみましょう。
(まずは、あまり深く考えずに、とりあえずAV montageにしましょう)
この脳波の場合、averageではこのようになりました。
q13
さきほどの下向きの尖った波形の場所は、右側頭部の電極(T4、T6、A2)で上向きの尖った波形になっています。
もう少しわかりやすいサンプルで練習してみましょう。例えばこの脳波ですが
q14
中央に、広く分布した下向きに尖った波形がありますね
q15
わかりますでしょうか?この赤い領域です。
青い箇所も、赤いところほどではありませんが、少し広めに分布した下向きに小さな尖った波形があります。
ここは何も考えずに、AV montageで見ましょう。
q16
赤い枠の波形は、明らかなてんかん性放電(spikeまたはsharp wave)と言っていい波形になりました。
通常のmonopolarで隠れていたspikeが、AV montageで明瞭なspikeとして描出されました。monopolarでしか見ていなければ、見落とす可能性があります。
ちなみに青枠のところは、明瞭なspikeとまでは言えませんが、小さな尖りがあります。波形的には一過性鋭波(sharp transients)と言えます。
なお、一過性鋭波は、通常は正常所見と解釈されますが、今回のような一過性鋭波は『赤枠の明瞭なspikeとほぼ同じ局在であり、再現性もあり』そうなので、この一過性鋭波に関してはspikeと同じ現象を見ているものと推測されます(spikeが断片化している)。
もうひとつ練習してみましょう。
q17
もうお分かりでしょうか。
この赤いところが、『広く分布した下向きの尖った波形』
青いところは、そこまで目立たないけど、若干下向きに尖っています。
q18
迷わずAV montageにしましょう。
q19
赤いところは、spikeになりました、
青いところは、一過性鋭波です。
さきほどと同様、spikeと一過性鋭波の局在は同じで、同じ脳波現象を見ているものと推測します(全ててんかん性放電の範疇ではと考慮されます)。
いかがでしょうか?
広く分布した、下向きの尖った波形を見たときは、とりあえず、AV montageでチェックする。
AVでspikeのような波形が確認できれば、まずはspike疑いとして、その他のサンプルでの再現性を確認しましょう。
<注意点>
もちろん、適切な脳波判読としては、横・縦つなぎのbipolarなど、その他のmontageでもチェックすることは必須になります。
また、AV montageは弱点もあります(全般性の所見の判読には不向きです)。
今回はあえて説明しておりませんが、今回提示したspikeや一過性鋭波のサンプルは、いずれも耳朶の活性化という現象です(耳朶にspikeの活動が波及しているため、temporal部のspikeが通常のmontageでは検出できにくい状況になっています)。
成人てんかんで頻度の多い「側頭葉てんかん」では、このような波形が見られる可能性が高く、要注意です。
『耳朶の活性化』は脳波判読の上で大変重要ですので、一度、教科書でご確認ください。
初学者としては、まずは感度よく(見落としがないように)、所見を拾わないといけません。
Spikeの見落としを減らす第一歩として、『広く分布した、下向きの尖った波形』を見た場合は、spikeかな?という意識付けが大事と思います。
<大事なこと>
広く分布した下向きの尖った波形を見た場合は
・ spikeの可能性を疑う
・ average montageで側頭部にspikeが出て来ないかチェック
・ 最終的な脳波の判読や解釈は、専門医に委ねて良いが、所見の見落としがないように
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