今回は限局性皮質異形成(FCD: focal cortical dysplasia)についてです。
FCDは、胎生期における皮質形成の異常で生じる構造異常です。臨床的には、FCDは「薬剤難治てんかん」のetiology(病因)の一つとして重要です。
FCDがあるてんかんの治療方針としては外科的切除が重要です。可能な限りの切除が求められます。切除後の長期の発作消失率は7割弱とされています。どこまで切除できるかがポイントですが、一方でFCDには組織学的な特性があることもポイントです。
FCDは病理学的な特性に応じてtype I、Ⅱ、IIIに分類されるのですが、それぞれ臨床的なphenotypeも異なります。例えば、タイプIIは前頭葉に多く、FCDタイプIおよびIIIは側頭葉に多くみられます。そして切除後の治療成績を向上にはこのタイプ別の特性をより深く掘り下げるのは重要です。
今回の論文では500名以上のFCDのてんかん症例を多施設でデータ収集・解析し、FCDの分布図を作成するとともに、その臨床的因子と病変の位置との関連性を調査し、術後の発作消失率との関連を検証しています。
結果:
FCDの分布はまばらではあるものの、上前頭溝、前頭極、側頭極に特に集中して分布しました。
臨床的特徴
1)てんかん発症年齢は10歳以下が多かった
2)てんかん発症年齢が早い場合は一次感覚野の病変と関連し
3)発症年齢が遅い場合は連合野の病変と関連した
4)側頭葉と後頭葉のFCD病変は、前頭葉のFCD病変より大きい傾向あり
発作消失率
視覚,運動,運動前野の場合には30%前後、上側頭葉,前頭葉の場合には75%前後
MRIの1.5Tと3Tでこれだけ術後転帰が異なることも明らかにしています。
術前精査での焦点同定がいかに重要かがわかります。
Reference:
Epilepsia. 2022;63:61–74.
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