PNESを脳波で秒で診断する

心因性非てんかん発作(PNES)

PNESとは「てんかん発作とよく似た発作症状ではあるものの、てんかん発作ではない発作で、心理的な要因で生じるもの」です。
つまりてんかん性ではなく心因性の発作です。PNESはしばしば診断が難しく、臨床的にも「困ることが多い」病態の一つです。
その難しさとは
1)真のてんかんとの鑑別が決して容易ではない症例があること
2)真のてんかんと合併することがあること
3)正しく診断できたとしても治療や対応に難渋するケースも多いことです。

まずはPNESを正しく診断せねばなりません。診断においては、発作症状がとても大事ですが、診断の決めては発作時の脳波になります。
つまり、真のてんかんでは「説明できない所見」を脳波で同定できれば良いのです。具体的には「見かけ上の意識障害があるにもかかわらず、脳波では持続した後頭部優位律動(posterior dominant rhythm)があること」、これを明確にすれば良いのです。
ただし、PNESであれば真のてんかんであれ、発作時は体動のアーチファクトの混入でしばしば脳波判定が難しいことがあります。
実際の脳波が下図です。
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途中から筋電図のアーチファクトが混入しています。このようにノイズ混入が強い時、脳波判定ではDSA(density spectral array)が役に立ちます。
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上図の白矢印のように、9Hz帯域で持続したPDRの活動が見られ、この持続したPDRは「見かけ上の発作中」であるにもかかわらず持続しているということが瞬時にわかります。つまり真の発作は否定できるのです。
DSAがなくとも、実際はmonopolarではなくbipolarなどに切り替えるとPDRを判別できることは多いですが、DSAがあればその操作をせずともすぐに分かるという利点があります。
実はBMJ case reportというジャーナルが以前から気になっていて、どの程度のものだったら採択されるのか、試しに投稿してみようと昨年末にふと思い、ためしに投稿してみました。「お試し」だったので、英文校正にも出さずに共著も入れずに投稿したところ、なぜか修正なしのacceptでした。本当にちゃんと査読しているのだろうか?という疑念は残りますが、昨今はcase repの採択も厳しいですので今後投稿先に困ったものなどではお世話になるjournalかもしれません。
Reference
BMJ Case Rep 2021;14:e241015. doi:10.1136/bcr-2020-241015
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