SEEGの手術成績はいかに?ー両側大脳に電極を留置ー

SEEGの手術成績はいかに?ー両側大脳に深部電極を留置ー
前回ブログで紹介しました脳内電極の一つである、SEEGですが、その手術成績に関する論文です。
SEEGのメリットの一つ:カバーする領域の広さ

硬膜下電極と違い、SEEGは両側の大脳半球に同時に留置することが可能で、広い範囲の脳をカバー(脳活動を捉える)ことができる、つまり脳の空間的解像度が広いという利点があります。シート状に脳表に敷く硬膜下電極と違い、SEEGは細い深部電極なので、両側大脳半球にそれぞれ留置することができます。両側の大脳に一定の間隔で留置することで広い範囲の大脳をカバーできます。もちろん記録するのはデジタル脳波としての脳内活動なので、その時間分解度も高いのです。
両側大脳から記録するメリットって?

例えば、長時間ビデオ脳波で、発作時の脳波が記録できたとしますが、その発作時の脳波変化は「最初から両側の大脳」から出現する発作時の脳波変化を呈していることは決してすくなくありません。これは、脳内のどこかでは(例えば脳内の奥の方では)、頭皮上の脳波では捉えられないような小さな発作活動が始まっていて、その活動が大きくなった段階で初めて頭皮上の脳波で捉えられることができるという現象がしばしば起こり得るからです。つまり、脳波で発作の始まりだと認識できる時点では、時すでに遅し、その時にはすでに両方の大脳半球が発作が広がった後、ということになります。
基本的には、発作はどこかに起源があるとされています。その起源を捉えることが、通常の脳波では物理的に不可能なことがあり、そのような場合に両側の大脳半球にSEEGを留置することで発作の起源を知ることができる場合があります。
両側SEEGの手術成績
今回の論文では、両側に留置した難治てんかん184例のうち、SEEGの記録後にてんかん焦点切除を受けたのが106例(58%)でした。その106名のうち、術後に発作消失したのが26%でした。
eifwefehi.png
特に手術成績が良かったのは?

SEEGの記録後にてんかん焦点切除を受けた106例のうち、どのような患者群が特に術後成績がよかったかというサブ解析では、
・てんかん罹病期間の短さ(10年未満
・抗てんかん薬の内服種類の少なさ(1または2剤
・発作型が1種類のみ
・発作焦点が複数懸念される
・てんかん焦点に運動野などの重要な局在が含まれる
・てんかん病理(海馬硬化症など)

重要な点は、脳内電極を留置する前の検査で、どの程度発作焦点を絞り込めていたかということです。この非侵襲的検査でどれほど絞り込めたかによって、SEEGにせよ、硬膜下電極にせよ侵襲的な検査においてどの程度の電極を留置すべきかが決まってきます。
Reference
Epilepsia. 2019;60:107–120.
★★脳波の推薦テキスト★★
『脳波判読オープンキャンパス(診断と治療社)』
・図書の詳細はこちら
・アマゾンでの購入はこちら
↓↓↓
71BwgFchlvL.jpg
本書の特徴はこちら
↓↓
sssssfgebwr.jpg
【てんかんテキスト】
「てんかん、早わかり! 診療アルゴリズムと病態別アトラス」
豊富なアトラスとアルゴリズムで諸学者向けのてんかんテキストです。
Amazonにて先行予約が可能となりました
【Amazon.co.jp】
【脳波判読ハンズオン:動画コンテンツ(初学者向け)】
https://www.youtube.com/channel/UC8fQhXxMaey6Bm80ZHGm-ig
【毎週月曜日に開催しているウェブでの脳波勉強会】
参加希望はこちらをご参照ください。医学生・医師あるいは検査技師であれば医局や病院に関係なくどなたでも参加できます。
にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へ
にほんブログ村
にほんブログ村 病気ブログ てんかんへ
にほんブログ村

コメント

タイトルとURLをコピーしました