抗NMDA受容体抗体脳炎の脳波診断

抗NMDA受容体抗体脳炎は、10ほど前から疾患概念が報告され、現在では神経内科医であれば誰でも知っている脳炎の一つだと思いますし、その臨床的重要性もよく知られていると思います。
この脳炎の診断ポイントはいつくかありますが、
実は脳波にも診断特異性の高い重要な所見があります。
少し古い文献ですが、抗NMDA受容体抗体脳炎の23例の脳波解析を行った報告です。
nmda.png
前提として、そもそも脳炎による意識障害を呈していれば、全般性徐波など何かしらの脳波異常はあります。抗NMDA受容体抗体脳炎での脳波異常の頻度は90%以上とされています。(感度は高いですが、多くは全般性徐波などの特異性のない所見です)。
では、診断特異性の高い所見は?
nmda2.png
“Extreme delta brush”
前頭部優位に両側性に全般性徐波が見られ、いわゆる”delta comma”の所見です。
よく見ますと、その高振幅な全般性徐波にbeta帯域の脳波活動が重なって見えると思います(デルタ波にヒゲが生えたような、稚拙な表現ですが)。
筋電図のartifactと思いがちですが、そうではありません。
(波形の広がりなど、デジタル脳波の活用で、筋電図との鑑別ができます)
delta帯域の高振幅徐波の、特に下降脚のところで、この高周波活動が重なって見えているのが、この脳波所見の特徴で
“Extreme delta brush”
“Burst and slow wave complex”

などと表現されます。
この所見が見られた抗NMDA受容体抗体脳炎は、この所見のなかった抗NMDA受容体抗体脳炎の症例と比較して、
「より病勢が強く」
「より入院期間が長かった」

特徴があると報告されています。
筋電図と処理しないことが、脳波判読上の注意点です。
references
Schmitt SE, Pargeon K, Frechette ES, Hirsch LJ, Dalmau J and Friedman D: Extreme delta brush: A unique EEG pattern in adults with anti-NMDA receptor encephalitis. Neurology 79: 1094-1100, 2012.
Ikeda A, Matsui M, Hase Y, et al. “Burst and slow com- plexes” in nonconvulsive epileptic status. Epileptic Disord 2006;8:61– 64.
Dalmau J, Gleichman AJ, Hughes EG, et al: Anti-NMDA- receptor encephalitis: case series and analysis of the ef- fects of antibodies. Lancet Neurol 2008; 7: 1091―1098
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