ILAE(International League Against Epilepsy: 国際抗てんかん連盟)は、新しい発作分類案を提言しましたので紹介します。
<そもそもなぜ発作分類が必要?>
理由1)
てんかん(分類)の診断には、まず発作分類を行うことが必要不可欠
理由2)
そのてんかん分類が決まることで、治療方針が決まり、長期的展望(予後含め)も考慮できます。
理由3)
発作を分類することで(発作を明確化することで)、患者さんとの発作の認識の一致が可能になります
何を治療しているのか、どの発作型が現在困っているのか、患者ー医師間で共有することができます。
新しい発作分類案は、
・ 基本/基礎版(ILAE 2017 classification of seizure types basic version)
・ 拡大/応用版(ILAE 2017 classification of seizure types expanded version)
があり、今回はまず前者を紹介します。
<発作分類 基本/基礎版>
発作型(seizure type)の分類には、発作時症候(semiology)の情報がすべてです。
本人あるいは発作を目撃した人から詳細に問診した情報をもとに、以下の手順で分類します。
1) 発作起始(seizure onset)でまず分類
・ 全般性(generalized):発作の始まりが全身性/左右対称性の症候
・ 焦点性/局在性(focal):発作の始まりが、局所性の症候
・ 不詳(unknown):判断困難
2) 焦点性/局在性(focal onset)なら、意識保持の有無でさらに分類
・ Aware:意識障害(減損)なし
・ Impaired Awareness:意識障害(減損)なし
3) 焦点性/局在性(focal onset)の症候には motor/non-motorのどちらもあり、以下のような症候で区分できる
・ motor onset
automatisms(自動症)
clonic(間代)
epileptic spasms(てんかん性スパズム)
hyperkinetic(過運動発作)
myoclonic(ミオクロニー発作)
tonic activity(強直発作)
・ non-motor onset
autonomic(自律神経症候)
behavior arrest (動作停止),
cognitive(認知障害),
emotional(感情障害),
sensory dysfunction(感覚性障害)
4)全般発作(generalized onset)は、発作開始が全身性の症候であれば該当されますが、意識障害の有無は問わない(意識があってもなくてもよい)。一般に、多くの全身性の発作は意識障害を伴いますが、そうでない意識の保持されたatypicalな全身性発作はあります。この分類案では、そこは問わないということとしています。
5) unclassifiedは、情報不足のために分類できない場合に該当
なお、一般臨床では1981年分類が周知されていますので、この分類が実臨床で使われなくなることはしばらくないと推測します。
「部分発作(partial seizure)」という表現は、国際的には一部マイナーなようです。
今回の改定案では、
「部分発作(partial seizure)」と表現せず、「焦点性/局在性発作(partial seizure)」で統一しています。
<非専門医にとって大事なこと>
・ 発作分類は、診断および治療において重要
・ 発作分類は、発作開始時の最初の症候が大事
・ 国際的には、部分発作(partial)→局在/焦点発作(focal)
References:
Instruction manual for the ILAE 2017 operational classification of seizure types. Epilepsia, 1–12, 2017
Proposal for revised clinical and electroencephalographic classification of epileptic seizures. From the Commission on Classification and Terminology of the International League Against Epilepsy. Epilepsia 1981;22(4):489-501.
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