病因別てんかんの発作消失率

てんかんには様々な病因があります。病因(etiology)とは、原因となっている病態のことで、大きな枠組みとしては「脳血管障害」、「腫瘍」、「免疫」、「変性」、「感染」などあります。
成人てんかんの病因別の代表疾患は脳梗塞、脳腫瘍、皮質形成異常、海馬硬化症、認知症、外傷、などです。ではそれぞれどのような転帰を辿るのでしょうか?
初期の治療方針はいずれも抗てんかん薬(ASM)での発作消失を目指すものですが、
その消失率に病因別で違いはあるのでしょうか?
焦点てんかんでは、病因別の抗てんかん薬(ASM)の有効性に関するデータはほとんどありません。上記の疑問を解決するための研究になります。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1111/epi.17017
成人てんかんでは各病因により臨床像も異なりますので、病因病態に応じたASMの有効性を評価することには価値があります。この研究では591名の焦点性てんかん患者を対象に病因毎に9つのカテゴリーに分類し、薬物療法の有効性の違いを評価しています。
12ヵ月間の発作消失率が最も高かった病因は「脳梗塞」でした(発作消失のオッズ比=2.093、95%CI=1.039-4.216)。発作消失率の最も低かったのは海馬硬化症(28.2%、95%CI=15.0~44.9)と皮質発達異常(16.7%、95%CI=2.1~48.4)でした。
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虚血性脳卒中患者では、ASMの必要投与量は、海馬硬化症患者や脳腫瘍患者とくらべて虚血性脳卒中患者で低かったようです。焦点てんかんでは、薬物治療による発作の転機に関して患者へ説明する際に、この病因別の転帰も参考になるでしょうし、ASMの初期投与量を設計する際にも有益な情報かもしれません。
Epilepsia. 2021;62:2133–2141
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