パーキンソン病と喫煙

苦戦していた「パーキンソン病の論文」がようやく通りました
https://www.jns-journal.com/article/S0022-510X(21)00228-8/fulltext
Neurologyに投稿したところ、査読者4名まで進む善戦をしたのですが、あえなくリジェクトという悔しい思いとともに自分の「データのまとめ方」がまだまだだなと…
パーキンソン病ではなんと「タバコを吸わない人の方が数人よりパーキンソン病を発症しやすい」ということが大規模な疫学研究から明らかになっています。だからと言って「パーキンソン病にならないようにタバコを吸いましょう」という話ではもちろんありませんが…
一方で喫煙をすれば運動症状が改善するという報告もあり注目されました。しかしその後の追試でニコチン摂取の有効性は証明されませんでした。ニコチン摂取で運動症状が改善する例は一定数はいるものの「一般化するには値しない」という結論です。
そのような背景のあるPDと喫煙ですが、今回のclinical questionは
1)タバコ(ニコチン)にはPD発症抑制(しいては神経保護作用)があるとして、PD発症後の症状進行に喫煙は影響を与えるのだろうかか?
2)仮にニコチン摂取で症状が改善するのであれば、なぜもっとPD患者は好んで喫煙をしないのか?むしろ悪化する例もいるのではないか?
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研究方法の詳細は割愛しますが110例のPDと年齢性別をマッチさせた正常コントロールを対象に解析しました。
主な結果は
・過去の大規模疫学研究と同様に、喫煙にはPD発症と負の関連あり
・過去の喫煙は、発症後の臨床像(重症度や、治療薬、非運動症状など)と関係しない つまり発症には関与するも進行抑制には関わらない可能性がある
・喫煙による症状変化は110例中3例いて、いずれも運動症状の悪化だった(改善例はいなかった)
・喫煙での一過性の運動症状悪化例の特徴は発症年齢の早さ(50才未満)だった。
・喫煙とパーキンソン病の臨床像には様々な交絡因子があると思われるが、その一つに「年齢を経るごとに増してくる喫煙に対する嫌悪感」があるのではないかと推測された
反省点としてはdata drivenなデータのまとめ方と解釈をしてしまったことですね
後で考えれば冷静に考えられるのですが
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