てんかんの究極の治療法は、「てんかん焦点の切除術」です。
しかし、この「てんかん焦点の切除術」には大きな課題があります。それは「てんかん焦点」の場所を術前にある程度絞り込んでおかないといけません。最終的には脳内電極で「てんかん焦点」の場所というのは確認するのですが、これには硬膜下電極などの電極を脳表において記録をするのですが、そもそもこの電極をお門違いな場所に留置しては元も子もありません。電極を置いた場所の範囲に「てんかん焦点」がなければいけません。
実際に脳内電極が記録できる場所というのは限られていますので、どこに電極を留置するのかという課題が術後の転帰にも大きな影響を与える重要な点です。
このような背景があり、紹介の論文は脳内電極で記録した発作時の脳波パターンには、てんかん焦点の焦点部位に応じた特徴があるのかどうかというものを検証したメタアナリシス論文です。
方法:
Mesh検索でヒットした1987論文(頭蓋内電極での発作時脳波を解析)から最終的に21論文が評価対象の基準を満たしました。
基準を満たした21論文中
頭蓋内発作時脳波の周波数毎の内訳は以下の通りで、LVFA (low voltage fast activity)が最多。
パターン別での内訳
発作時脳波のパターン以下の通りで、LVFA (low voltage fast activity)が最多で、LFRS (low frequency repetitive spikes)が次ぎ、deltaが最少。
IOPとoutcomeの関係に関するメタアナリシス:
LVFA (low voltage fast activity)であれば、術後転帰良好(Engel I)となる可能性6割弱
論文結論:
LFRS (low frequency repetitive spikes):内側側頭葉てんかん由来に関連し、その術後転帰良好と関連
LVFA (low voltage fast activity)は新皮質てんかんと関連し、局所性のLVFAは良好な術後転帰と関連
参考論文
Epilepsia, 56(10):1629–1638, 2015
doi: 10.1111/epi.13120
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